August 19, 2004

研磨の前期まとめです。

ガラスの研磨は、コールドワークとして江戸切子や薩摩切子で古くから行われてきた技術です。肉厚のガラスの表面に刻まれたあまたのカットがきらきらと光っているガラス器には誰でも見覚えがあります。JMラボでは、この研磨を聞きまねではじめました。調べるうちに、ラインの調子を変えたり、修正に使えるかなと思いました(実際にはそんなに甘くはないですが)。
はじめに、わざと傷をつけてしまいました。粒子の大きいペンで強く描いてしまいました。こんなに深く彫ったら(掘ったら!)だめだってば・・・・。
beforePolishing.jpg

はじめのうちは、聞きまねですからね・・・、仕上げに使うような細かな研磨剤でやってました。当然、きれいに削れていくのですが・・・おそい。 で、やすりを使ってしまおうかと・・・・大胆です。
PrimSanding.jpg
これでは修正しているのだか、ひどくしているのだか。やすりを細かくして、なだらかにしようとしました。が、傷が広がっただけ?
SecSanding.jpg

ここらでやすりは終わりで、あとは研磨剤とドリルです。耳栓を忘れず。仕上がりはこんな具合です。
Polishing.jpg
文字が残っている。そう、残っています。頑張ればフラットになるかもしれません。この時点でデリケートなラインの修正には使いつらいかなと思いましたが、後は工夫次第です。

もう少し良い方法はと探して、ある会社に問い合わせて、研磨剤のサンプルを送ってもらうことにしました。


まず、研磨消去したい部分の裏側からマジックでマークをつけます。ついで、研磨剤をつけながらドリルで磨きます。
H2Proc.jpg

すばらしいことに、この研磨剤の性能は良好で、短時間で今までにはないつややかなガラス表面が得られるようになりました。
polH2.jpg

しかし、肉眼では見えない傷やひずみは存在します。特に、強い太陽光を通すとわかります。
CMPresult1.jpg

もっとも良くガラスの状態を見るには、強い太陽光を当てながら影を観察します。肉眼でも見えないひずみや傷がよくわかります。この方法は、材料としてガラス器を選ぶときに使えます。
CMPres3.jpg
肉眼でも見える模様は、くっきりとした影を造ります。水滴の影のようなまだら模様の部分が、光が通りながらも微妙に曲げられている場所です。こんなにはっきりと出るのに、肉眼ではわからない場合もあります。
私も、もう消えているだろうと思って影を見てびっくりしました。まるで作業履歴が刻まれているみたいです。

もうすこし、研磨による効果をお伝えしようと考えて、すりガラスを同じ研磨剤で5分間ほど研磨して、その変化を見ました。下の一枚は、油に研磨剤を混ぜて研磨したものです。上二枚は水に混ぜたもの。濃度に差があります。
RayThrudif2.jpg

これを、太陽にかざして影を造ってみました。
raythrudif.jpg

新聞紙の文字の見え方です。
RayThrudif3.jpg

今回用いた研磨剤のもっとも良いなと思った点は、仕上がり面の艶です。新品のガラスの艶に近い。
古くて、少し曇ってしまった感じのガラスは、この方法で新品の輝きを取り戻せるかもしれないなと思いました。
tuyadashi.jpg

このほか、研磨に用いるドリルのアタッチメント、フェルトが基本ですが、細かなノウハウはまだまだありそうです。
コールドワークの一方法として、さらに研究を重ねようと思います。

諏訪北沢美術館で古い切子の作品を見たとき、カット面が思いのほか荒れていると感じました。透明なのだがやや曇りが残っている。なるほど、研磨するのは大変!と妙に納得です。

August 19, 2004 in 削る | | Comments (0) | TrackBack (0)

July 19, 2004

ガラスに彫ったラインの修正

サイト更新の多忙に消えてしまいそうなラボワーク!いかん!まだまだ、始まったばかり。
さて、今回の題は、彫ったラインを消すこと。間違えてひいてしまったライン。ダイアモンド粒子付きペンは非情です。
間違えの修正が効かないのは、グラスリッツエンの宿命的特徴です。この特徴はなくならないでしょう。車のウインドウガラスについた傷は、ガラスと屈折率の似る樹脂(プラスチック)をしみこませることで、ほとんど目立たなくなりますが、美しいクリスタルではそうもいきません。方法は他にないのか?残念ながら、決定的な傷ラインの消去法はないでしょう。それを踏まえた上で、一ヶ月も彫り続けてきた作品を捨てられないあなたは・・・・削るしかないでしょう。ガラスの研磨は特に新しい技術でも何でもありません。細かな研磨剤で気長に削るだけです。研磨はストレスをガラスに与えます。破壊のリスクと隣り合わせです。江戸切り子は桐の板を使っていたらしいのですが、私は電気ドリルにフェルトのアタッチメントをつけて、研磨剤をつけながら削ります。傷が深い場合は1000番や1500番の耐水紙ヤスリでがつんと削ってしまいます。そのあと、酸化セリウムや酸化アルミニウムなどの研磨剤で磨きます。残念ながら、この方法でも、傷跡の部分にはゆがみが残り、映り込む蛍光灯のラインが歪んだりします。平滑な研磨は難しいものです。
ceriumurub.jpg

July 19, 2004 in 削る | | Comments (0) | TrackBack (0)